寒い冬の季節が終わり、本格的な春がやってきました。
春を体いっぱいに楽しむため、味覚から春を感じてみてはいかがでしょうか。
春野菜には、寒さがまだ厳しい時期に芽を出し成長するための栄養素が豊富に溜めこまれていて、
生命力に溢れています。
また、春野菜には苦みがあります。この苦味は心身に刺激を与え、身体機能を活発にすることで、
体を春へと目覚めさせてくれます。
冬眠から目覚めたクマはまず最初にふきのとうを食べて、冬の体をリセットするそうです。
この苦味の正体は、“植物性アルカロイド”という成分で、春に芽を出す為の栄養や、冬の間害虫などから身を守る
為の自己防衛手段として蓄えられているものだそうです。
“植物性アルカロイド”の中には、腎臓のろ過機能を高め、体内の老廃物や有害な物質を排出したり、
肝臓の機能を高める働きを持つものもあります。
冬の間に溜まった老廃物を排出して新陳代謝を促すというデトックス効果も期待できるかもしれません。
では、代表的な春野菜の特徴をご紹介します。
■春キャベツ
ビタミンCが豊富なことで知られ、葉っぱ2枚分(100g)で1日の必要摂取量の半分に達します。
また、キャベツならではの重要な成分として、ビタミンU(キャベジン)が挙げられます。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防、さらには、傷ついた粘膜の修復や肝臓の機能回復にも効果があるとされています。
キャベツには食物繊維も豊富に含まれているので、便秘の改善や肥満予防などの効果も期待できます。
■たけのこ
ビタミンは少なめですが、カリウムやマンガンなどのミネラル、食物繊維の供給源となります。
また、旨味成分であるアスパラギン酸を多く含んでいて、これが、疲労物質である乳酸を早く燃焼させ、
エネルギーに変える力を持つと言われています。
さらにアスパラギン酸には尿の排泄を促す働きもあり、古代エジプト時代には利尿薬として利用されていたそうです。
■アスパラガス
緑色のグリーンアスパラガスと淡色のホワイトアスパラガスがありますが、栄養価が高いのはグリーンアスパラガスです。
たけのこと同じくアスパラギン酸を多く含むのが特徴で、疲労回復やスタミナ増強に効果があると言われています。
抗酸化作用に優れるビタミンA、貧血防止に効果的な葉酸、骨の健康に不可欠なビタミンKなどを多く含むので、
アンチエイジングを目指す女性にとっても強い味方ですね。
■えんどう
さやごと食べる「さやえんどう」と、さやの中の豆だけを食べる「グリンピース」に大きく分けられます。
豆類に特徴的なたんぱく質と糖質を多く含んでおり、さらに、いちごと同じぐらいビタミンCが豊富です。
ビタミンCは、抗酸化ビタミンのひとつで、細胞の酸化を防ぐことによって、がん予防や、老化を予防する働きが
あります。また、コラーゲンを合成して血管や皮膚を健康に保ちます。
次に、紹介した春野菜をおいしく食べるための調理方法をご紹介します。
■春キャベツ
キャベツに含まれるビタミンUの作用を有効に利用するためには、生食がベスト。
ですが、生野菜はあまりたくさん食べられないので、スープや煮込み料理にすればたくさん食べられるので
おすすめです。
■たけのこ
たけのこ独特のえぐみは、シュウ酸、ホモゲンチジン酸と呼ばれる成分によるもので、掘った直後からどんどん増加
していきます。昔から「たけのこを掘りはじめたら、お湯をわかしておけ」と言われるのはこのためです。
たけのこがかぶるぐらいの水と米ぬか一握り(もしくは米のとぎ汁)、唐辛子を2本程度入れ、1時間ほど茹でます。
皮にはたけのこを柔らかくしてくれる成分が含まれているので、皮ごとゆでるのがポイントです。
また、新鮮なたけのこの特徴は、切り口の断面が白く、頭の部分が黄色がかっています。
穂先が緑色のものは、えぐみが強いので避けた方がよいでしょう。
■アスパラガス
アスパラガスに含まれるビタミンA・Kは、どちらも脂溶性の栄養素です。
油で炒めたり、油を使ったドレッシングで和えたりすることで、吸収率が高まります。
水溶性の栄養素も含んでいるので、茹でる際には、茹ですぎに注意しましょう。
■えんどう
えんどうに含まれるビタミンCは水に溶けやすく、熱に弱い性質を持っているため茹ですぎや、
火の通し過ぎは禁物です。煮物などの場合は、火を止めてから加えるのがおすすめです。
今では一年を通してお店に並ぶ野菜が多いですが、旬の春野菜が持つ生命力とみずみずしさを取り入れて
活力ある春を過ごしましょう。