ライター：磯野 八景

いつまで梅雨が続くのかと思いきや関東甲信で過去最も早く梅雨明けし、暑さに慣れない方も多いのではないでしょうか。

そんな日本では、夏本番前に古より伝えられてきた6月の神事があります。それは、大祓（おおはらえ）です。「12月に行われる神様の行事ではないの？」と思われる方も多いかもしれませんが6月にも行われます。

今回は、そんな6月の大祓の神事を茅の輪くぐりと共に受けられる、磯子区と金沢区の神社をご紹介します。

夏越（なごし）の祓

みなさんは、大祓の神事を受けられたことはありますか。

年の締めくくりの大晦日に神社でよく見られるのが大祓ですが実は、年2回、6月と12月の晦日に執り行われます。常に清らかな気持ちで日々の生活に勤しむよう、自ら心身の穢れや災厄の原因となる諸々の罪や過ちを祓い清めるという神事です。一説には、この大祓は中世以降、各神社での恒例神事となり今に伝わったとも云われています。

とは言っても難しい神事ではありません。大祓詞を唱え、人型（人の形に切った紙）などを用いて身についた半年間の穢れを祓い、無病息災を祈り、神前に配置された茅の輪を３回くぐります。

６月（水無月）の大祓は「夏越の祓」、新年を迎えるための12月（師走）の大祓を「年越の祓」と呼んでいます。

茅の輪くぐりがある　磯子区と金沢区の神社

磯子区　八幡橋八幡神社（滝頭八幡神社）

創建1500年余りに及ぶ歴史ある国道16号線沿いの八幡橋近くに鎮座し、祭神は誉田別命（応神天皇）をお祀りしています。原町や八幡橋のバス停からも近くアクセスしやすい神社となっています。

境内の神前に茅の輪が7月1日（金）まで設置されています。

この茅の輪の元々の由来は、悪疫退散なんだそうです。

【茅の輪くぐりの作法】

（1） 正面でお辞儀、左足で茅の輪をまたぎ左周りで正面に戻る

（2） 正面でお辞儀、右足で茅の輪をまたぎ右回りで正面に戻る

（3） 正面でお辞儀、左足で茅の輪をまたぎ左周りで正面に戻る

（4） 正面でお辞儀、左足で茅の輪をまたぎ神前へ参拝に向かう

茅の輪をくぐる際の一般的な唱え詞は「祓へ給ひ　清め給へ　守り給ひ　幸え給へ」が代表的で神様へお祓いと祈りの力添えをお願いする意味が込められています。

作法を考え過ぎて茅の輪くぐりをすると緊張して体が硬くなってしまいそうですがリラックスしてお参りすることがとても大切です。

参拝を終えた際は、ぜひ境内の木々に目を向けてみましょう。

この時期にしか見られない青々とした横浜市名木古木指定のイチョウ、ケヤキ、ムクノキ、エノキなどが木陰で涼しさをお裾分けしてくれます。

八幡橋八幡神社（滝頭八幡神社）では、6月30日（木）午後3時より大祓式が執り行われる予定です。

参列した方には、初穂料のお納めと共に茅の輪守りを頂けます。当日参列できない方は、大祓人形を社務所で受け付けています。

金沢区　瀬戸神社

鎌倉殿である源頼朝からも信仰されていた由緒ある神社で、またヤマアジサイの“あじさいぼんぼり”が鑑賞できることでも知られている京急 金沢八景駅から徒歩２分にある瀬戸神社。祭神は、大山祇命をお祀りし交通安全・旅行安全・商売繁盛の守護神として親しまれています。

境内の神前に茅の輪が設置されています。設置されたての茅の輪は、青い草の色が鮮やかでほんのり緑の香りが漂います。基本的な茅の輪くぐりの作法は同じです。瀬戸神社での茅の輪は、7月上旬頃まで設置予定です。

こちらの瀬戸神社では、「大祓人型」も用意されており社務所に用意されてあります。

瀬戸神社では、人型の他に車型の紙も入っています。

【大祓人型の作法】

（1） 人型に名前と年齢を書き祈願の気持ちを込めて体を撫でる

（2） 人型に息を３回吹きかける

（3） 封筒に住所、氏名を書いて初穂料（瀬戸神社では千円より）と一緒に封をせず納める

*交通安全祈願にもなる車型には、車のナンバープレート、車の所有者やその車を主に運転する方の氏名を書きエンジン、車の四隅、傷や凹みのある個所を優しく撫でるのが一般的です。

2022年度の瀬戸神社では、大勢での茅の輪くぐりの夏越の祓の行事は自粛となっており、神職のみで執り行われる予定ですが、大祓人型は6月30日（木）までに社務所へ納めるか、もしくは郵送でも受け付けており茅の輪守りを授与して頂けます。

当日までに行けない方や体が不自由で行けない方も安心して祈願することができます。

瀬戸神社でも境内に横浜市名木古木指定のイヌマキ、カヤ、ビャクシンの木があり葉が青々とする木の力強さやパワーを感じることができます。

各神社で頂ける茅の輪守りは、疫病退散の意味が込められています。

ぜひ、みなさんも夏越の祓でしか見られない青々とした茅の輪をくぐりながら、日本古来から伝わる伝統神事でこれから迎える夏本番を健やかに、そして2022年後半の生活をより豊かになるよう大祓で心と体を祓い清め、新しい気持ちで祈願しに神社へお参りしましょう。

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