脱プラスチックによる環境保護のため、レジ袋が有料化になったのは記憶に新しいと思います。
サステナビリティな社会に向けて、靴の世界でも相次いで新商品が登場しているのをご存じでしょうか。
これらの商品は石油由来の部品に代わり、生分解性の素材を使っているのが特徴です。
もちろんファッション性や機能性も重視されています。足元におしゃれをしながら環境にも配慮できるのです。
例えば20年1月、東京渋谷区に1号店を開いた米国発の靴ブランド「オールバーズ」。
特徴は環境にやさしい靴づくり。ソールには一般的な靴が使う石油を原料とする樹脂ではなく、サトウキビ由来の
素材を使っています。これにより1足当たりのカーボンフットプリント(温暖化ガス含有量)を一般的なものと比べ
4割減らしました。足を包む部分にもウールやユーカリ由来の素材を使っています。
環境に配慮しつつも柔らかく、米タイム誌には「世界一快適な靴」と評価を受けています。
20年に日本政府が「50年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする」方針を出したころから、環境意識の高い
若者を中心に客足が伸びたそうです。原宿店の売上高は2020年世界1位でした。
日本企業では「ミライェ」が“土に還るスニーカー”と銘打ち20年に天然ゴム底のスニーカーを発表しました。
天然ゴムを発泡させる独自技術を使いゴム底の軽量性と、衝撃を吸収する機能を両立させ、年配の利用者からも
好評を博しています。天然ゴムは20年~30年かかりながら土の中で分解されるので、埋め立て処分されても
環境負荷をかけることはありません。
また同社が環境意識の高い欧米で新ブランド立ち上げを目標に、クラウドファンディングを通じて開発費を
募ったところ目標の5倍にあたる260万円が集まったそうです。
企業だけでなく、世間でも環境配慮への意識の高まりがうかがえます。
大手ブランドも環境配慮へと舵を切っています。アディダスでは24年までに全商品で新品のポリエステル使用
を止める方針を固め、人気モデル商品では再生ポリエステルの使用を始めました。
ナイキも重量換算で25%以上にリサイクル素材を使ったバスケットボールシューズを2月に発売しました。
機能性や見た目を競ってきた靴・スポーツシューズの企業も、これからはサステナブルという視点を加え、
さらなる開発が進むことでしょう。私たちの足元からも環境配慮は始まっています。