胃がんは長い間、日本人のがんの代表でした。胃がんの原因の98％とされるピロリ菌の感染率が
高かったことが原因です。
冷蔵庫の普及などで、ピロリ菌の感染率が低下し、胃がんの罹患率・死亡率とも減少傾向にありますが、
罹患数では第2位、死亡数では第3位と、まだまだ手ごわいがんの一つです。

昨今のコロナ禍により、今年度は胃がん健診の受診者数が大きく減っているそうです。
これによって、今、胃がんの治療が激減しています。がんは症状を出しにくい病気ですから、
検査が行わなければ、患者が減るのは当然です。

胃がんの治療は手術中心です。多くのがんで用いられる放射線治療は、胃がんに対してはきわめて
少ないです。その胃がんの手術数が減っているのです。
国立がん研究センター中央病院のデータでは、今年の4月から10月に行われた外科手術の件数が
40％ほど減少しているそうです。
おそらく胃がんが減っているのではなく、検査が実施されておらず、発見されていないのが理由だと思われます。

がんを診断するには1センチ程度にならないと難しいそうです。
たった一つのがん細胞が分裂を繰り返してこの大きさになるまでに20年という長い年月がかかります。
しかし、1センチのがんは1,2年で進行がんになると考えられます。

今年度、コロナ禍で検査数が減り、早期胃がんが見つからないために手術件数が減っているのですが、
来年度以降は進行胃がんが増えることになりそうです。
特に、症状がでてから発見される人が多くなる可能性が危惧されています。
がん検診の閑散期は1月～3月だそうです。がん検診を先延ばしされている方はこの期間に検査を検討されては
いかがでしょうか。