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企業訪問

横浜醤油株式会社

明治発祥の横浜の歴史ある醤油メーカー

2016/06/20

記者が横浜醤油株式会社に興味を持ったのは、大手醤油メーカーの工場は、千葉県銚子に集中しているのに、なぜ横浜を醤油製造の地としたのか知りたくなったからだ。

水が良く、整った流通網

「横浜は水がよく、立地的にも交通網が整備されており、流通面で恵まれた環境にあると創業者が判断したからでしょう」と筒井恭男社長は語る。

「当社の発祥は明治の頃で、歴史のある会社のようです。文献が残っていないので詳しいことはわかりませんが、地の豪農や庄屋で、小麦や大豆、コメを作っていたことから、醤油を作り始めたようです。故・筒井松男初代社長が会社として組織化したのは1937年(昭和12年)9月です」(筒井恭男社長)

当初は白楽駅近くの白幡上町に広大な敷地の醤油工場を構えていたが、周辺が住宅地になるなど周辺環境の変化により、2000年に現在地の松見町に移転、同時に筒井恭男氏が3代目社長に就任した。

「私は次男坊なので家業を継ぐことはないと思っていましたが、2代目の長男が体を悪くしたため、3代目社長を引き受けました」

長期熟成、無添加にこだわる

白幡上町の工場ではこうじ菌からもろみまで、一貫して作っていたが、移転先の工場は、規模の問題からそれができなくなる。

「一貫生産ができないのなら、いっそ廃業するかという選択肢も含め、会社役員などと話し合った結果、伝統ある看板を守り続けようということになりました」
こうじ菌からもろみ熟成までは、同業13社による共同生産会社が岐阜県恵那にあり、そこで当社レシピによる仕込み方で熟成が終わったもろみを絞り生揚げを供給することになり、松見町の新工場では、殺菌加熱して香り・味・色を調合する。そういう製造システムになったが、1年の長期熟成と無添加という同社ならではのこだわりは、分業化しても持続している。

工場のタンク大手メーカーは強制発酵により約3か月で終わらせてしまう熟成を、同社は1年かけて熟成させている。このこだわりが顧客からの品質に対する信用につながっている。

楽しい新製品開発

食べる醤油
食べる醤油
「私は小学生のころから仕込みを手伝っていたから、醤油づくりはからだで覚えました。

この仕事は発酵食材を使うので、いろいろなものをつくれるのが楽しいですね。小さな会社なので大手メーカーのような研究所はありませんが、自分でいろいろな新製品をつくってみるのは面白いですよ」

筒井社長が開発した新製品を見ると、激辛ブームから生まれた「ハイ辛辛辛醤」(はいからじゃん)は赤トウガラシとハバネロエキスを本醸造こいくち醤油など合わせ熟成させたもので、一度使ってからやみつきになる人は多いという。「野菜が手に入るようになったので濃厚ソースを作ってみた」り、北海道真昆布と羅臼昆布、焼津かつお節を使った「めんつゆ」など数多い中で、横浜醤油にしかない製品として「食べる醤油」がある。これは筒井社長が長い研究期間を経て完成した自信作。「苦労したのは発酵を止めることだった」。発酵を止めないと微生物の繁殖が止まらないからだ。同商品にはプレーンとニンニクと柑橘系ゆずの3種類があり、バーベキュー、焼き肉、ご飯に乗せるなど、いろいろな食べ方を試す楽しさがある。取材中にも何度かご近所のかたがお求めに来られるほどのヒット商品。毎月第4土曜日に反町ふれあいサロンでも販売している。

お客さまとの信頼関係

横浜醤油の販売エリアは全国北から南まで。同社の特色は、受注生産を基本としているので在庫がなく、返品もない。それゆえ、無添加を守り続けることができている。

醤油メーカーは全国に約800社あるが、大手5社で60パーセント超のシェアを占め、さらに中堅20社の占有率も高い。そういう中で生き残るには、在庫を作らない販売方法はかなり有効だ。同社の納入先は、学校、病院、飲食店のほか、団地や町会からの注文もある。顧客のほとんどが固定客で、「安心して使っていただけるという信頼が構築できているからこそで、先代の努力を無にしないよう、横浜生まれの醤油を守り、おいしい醤油をつくり続けていきたい」と語っていた。
横浜醤油株式会社  
所在地 横浜市神奈川区松見町3-1-6
電話 045-401-9317

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