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企業訪問

株式会社 風と光

オーガニック食品で町おこし

2015/09/15

株式会社 風と光   代表取締役 辻明彦
株式会社 風と光   代表取締役 辻明彦
神奈川区鶴屋町のビルの一室にオフィスを構えるオーガニック製品の会社「株式会社 風と光」。
今回は同社のオーガニック製品の取り組みについて取材させて頂きました。

喜界島との出会い―――。

喜界島上空からの写真。
喜界島上空からの写真。
 鹿児島県の奄美諸島群の北東に浮かぶ美しい島『喜界島』。サンゴ礁でできた弱アルカリ性の土壌からできる砂糖はコク味が強く、深い味わいとなります。現地で島の農家の方に話を聞いていく内、一部からとある話が辻社長の耳に入ってきます。

「農薬は、隠れて使わない」

 無農薬が善とされる昨今、「使わない」ことを「隠す」というのも不思議な話です。そこには製糖業界の複雑なシステムが関係しており、農水省からは農薬の使用を推奨されているのです。

 では、国が推奨する農薬使用の指示に背き、隠れてまで無農薬を貫くのはなぜなのか。そこには、「命の地下水を汚したくない」という喜界島の方々の強い想いがありました。

 島民の方々の想いを大事にしたい。そう考えた辻社長は「命の水を守るためのオーガニック」を作っていこうと決意しました。そして、そこから構想されたものが「オーガニックアイランド」でした。

オーガニックアイランド喜界島へ―――。

深いコクとすっきりとした後味の喜界島黒糖。色の白さから「和三盆」に似ているとも言われます。
深いコクとすっきりとした後味の喜界島黒糖。色の白さから「和三盆」に似ているとも言われます。
 オーガニックアイランド構想とは、喜界島すべてをオーガニックの島にしようという考えです。たとえば、ある一部の農地で無農薬の作物を作ったとしても、周囲の農地が使用する農薬の影響を少なからず受けてしまいます。その点、離島である喜界島は周囲からの影響を受けない距離があり、完全なオーガニックだけのさとうきびを作ることが可能なのです。

  喜界島は約800年の歴史を持つ島です。しかし近年では若者の島離れが進み人口も減少しているというのが現状。そしてそれは国内の他の離島にも当てはまる問題です。「長い歴史を持つ美しい島を、オーガニックアイランド構想によってこの先の未来にも残していきたい」という辻社長の想いに賛同し、協力してくれる人々もいました。

 まずは島の基幹産業であるサトウキビのオーガニック化から進め、有機サトウキビの生産者を増やしていくこと。そして、有機黒糖・黒蜜の製造から、白ごま・そら豆・かんきつ系などの有機化を進めます。日本にはまだ有機JASの黒糖はありません。現在ようやく審査の2章を通過し、今までの努力が形になりつつあります。

ありのままの姿で残る未来型の島。その先駆けへ―――。

 「日本で最も美しい村」に喜界島・喜界町が承認されたのは2009年10月6日のこと。評価されたのはその美しさと、島民の島の景観を守ることへの意識の高さでした。現代までその美しさが維持され続けてきたのは、人間の英知によるものなのだと辻社長は語ります。

 リゾート開発などの観光業よりも、農業によって成り立つ島を目指すことは、景観を守るだけでなく、島の人口減少を食い止める道にも繋がります。作物だけでなく、商品の加工まで島の中で手掛けることによって、雇用率も上がり、島の若者たちも戻ってくる。現在日本の多くの離島が抱える問題に対し、喜界島をオーガニックアイランド成功のモデルケースとすることを目指しています。

オーガニックによる試み。

 風と光では、喜界島の取り組みのほかにも、山形県川西町の『べに大豆』での町おこしやドイツの有機パン用酵母など、オーガニック食品の活動をさかんに取り組んでいます。自分の人生が世のため人のためとなることが、オーガニックの本来のあり方です。日本はまだオーガニックの分野に関しては遅れをとっています。この先の世界や日本の環境、私たちの生活を考えるとき、オーガニックは大きな役割を担うものであると言えるでしょう。
 今回、辻社長のオーガニック食品にかける想いや取り組みを聞かせていただくなかで、社長自身が喜界島の豊かな自然の一部であるかのように感じました。また、一つの商品に多くの人々の想いや人生が込められていることを知りました。普段の食事の際にも、その製品にどういった物語があるのか気にしてみると、新しい発見があるのかもしれません。
会社名 株式会社 風と光
住所 横浜市神奈川区鶴屋町1-7-10 タクエー横浜西口第5ビル2階
TEL 045-316-2019
ホームページ http://www.kazetohikari.jp/