企業訪問
ヨコカンの愛称で知られる横浜乾物株式会社
2016/08/09
1万点を超える商品
創業は昭和14年。当時の店舗は南区南吉田町という南区と中区の区境に位置していた。「創業者（父・万太郎氏）の出身地である群馬県の干しシイタケなどの乾物を販売していました」。（斉藤秋造代表取締役会長）
戦争を挟んで、創業者が昭和21年に復員、店舗を再開する。そして昭和26年に現在地に移転。併せて株式会社に組織変更した。
横浜中央市場の場外という好立地で、扱い商品は徐々に増えていった。
「市場で魚、野菜を仕入れ、帰りに加工食品を揃えるためにヨコカンを利用されます」。
仕入れ先、取引先が増えるにしたがって、扱い品目が増え、現在は1万点を超える加工食料品総合卸業者となっている。「すべての保存食料品が揃っています」。
しかし最近は大手スーパーの利用などで中央市場に来る業者が減っており、厳しい状況だ。
「お客様は飲食店5割、小売店2割、一般消費者3割という構成比になっています」
小売業者は家庭用から業務用にシフトしている。仕入れ先は家庭用、業務用、両方扱っているので仕入れ先は変わらない。
ヨコカンは、生ものは扱わず、加工用のみ。配達もしない。売掛もしない（現金卸売）のが原則。「それだけではじり貧になる」ので、新たな展開として、海外の日本人向けに加工食品の発送も行うようになった。
「直接ではなく、横浜港のシップチャンドラー（貿易会社）と取引しています」
6店舗を展開
ヨコカンは県内に6店舗を構えている。ヨコカン本店、ヨコカン中央場内店、ヨコカン南部場内店、ヨコカンC＆C相模原店、ヨコカンC＆Cお三の宮店、ヨコカンC＆C川崎北部店。
ヨコカンは業務用が中心、C＆Cは一般のお客様向けとなっている。
場外に本店があり、市場内にも店を構えている。「市場しか立ち寄らないというお客様のために市場内にも設けていますが、扱い商品は少ないですね」。
従業員は、正社員25名、パートを含めると55名。この人数で6店舗を動かしている。
「従業員教育は、組織だって行っているわけではなく、現場で指導しています」。
現場主義だからこそ、マナーや商品配列の覚えが早い。
倉庫は隣町にあるが、「お店はお客様の食品倉庫です、とアピール」している。
得意先は学校、事務所、お祭りなど催事の出店業者。
価格は単品、まとめ買い、大量購入の3段階で設定。「私どもは価格、一括販売が強み。まとめ買いのときはヨコカン、C＆Cを選んでいただいています」。
ジェフダ・ブランド
またヨコカンでは、全国各地の外食産業食品流通サービス業者の集まりである全日本外食流通サービス協会（JFDA）が食品メーカーを共同開発したジェフダ・ブランド商品を「自信を持ってお客様に提供」している。
「ジェフダ・ブランドは利益率の高い画期的商品」で、このブランド商品は神奈川県では2社しか扱っていない。
社会貢献
東日本大震災では支援団体を通して義捐金や商品を送った。
また、日本赤十字社から昭和59年に「多額の社資を納入された」として銀色有功章が送られている。
国連からは2008年に世界食糧計画への寄付・支援への感謝状が贈られている。
また斉藤秋造代表取締役会長個人として、神奈川検定横浜ライセンス一級、鎌倉検定合格を活かし、ボランティアで横浜、鎌倉の観光ガイドを務めている。町内会長、民生委員、神奈川法人会の副会長と広報委員長を引き受けるなど地域に貢献している。
今後の計画
「横浜中央市場がオリンピックを前に、大きく変化しようとしています。それに合流し、様子を見ながら店舗を流れに乗せたい。77年、手堅く展開してきましたが、一気に店舗を増やすとか、大きくしようというのではなく、持続していくことが大事だと考えています。弊社は借り入れが少なく、自己資本比率が高い。持続につながる体質だと思います。外国資本や大手資本を入れたり、大企業の傘下に収まったり、M＆Aで売ってしまったりするようなことはしない。堅実に動ける中小企業の手本でありたいと思っています」。
企業理念は「社会貢献=お客様に満足のゆく価値を提案し、食文化に貢献します」「環境適応＝環境の変化に対応し、一歩先を行く経営体制を追求します」「自己実現=人間味あふれる社風をつくり企業の品性を高めます」の3点。
| 横浜乾物株式会社 | |
| 所在地 | 横浜市神奈川区栄町16－8 |
| 電話 | 045-441-1155 |
| 営業時間 | 平日 6：00～16：00 土曜 6：00～15：30
祭日（日曜休業） 7：00～15：00 市場休業日 7：00～16：00 |
| HP | ヨコカン公式HP |
